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禁煙ファシズムと断固戦う! (ベスト新書)

禁煙ファシズムと断固戦う! (ベスト新書)

阿井渉介氏がこのようなことを書いている。

先ごろ、夏目漱石財団なるものが設立されようとしました。
結局のところ「漱石」をお金にしようという目論見だったように、見えました。
子孫の内から反発が起きて、頓挫したようで、久しぶりに清清しい思いを味わいました。
しかし、菊地寛作『赤い靴はいてた女の子』に神経を荒蕪されてきた私は、ふと空想しました。

「おれは『坊ちゃん』のモデルになった男の三代目の子孫だ」と称する男が現われて、テレビ局が注目、男の証言を元に番組を作ったら……。
男の祖父は漱石が松山で下宿していた家の隣に住んでいたことがあって、その祖父は漱石のところに出入りして、一緒に温泉に浸かりに行った。漱石は、「お前を主人公に小説を書いてやろう」と祖父に言った。
「と、おれの父はおれに話してくれた」と、男は証言し、テレビ局は男の祖父が漱石の下宿の二、三軒先に住んだことを証明する戸籍を映して見せた。
世間は喝采して、この祖父の生れ在所の石槌山々中に像を作って、碑には『坊ちゃん』のモデル云々の文字を刻んだ。
この像は寒村の観光となり、村に現金をもたらした。
言い出した男は、一躍夏目漱石研究家として売り出し、大学で「漱石論」を講じ始めた。

……といった事態が起きない保証はありません。
 それこそ財団でも作って管理すれば、そのような事態が防げるのでは、と薄ら寒い秋の夜の夢を見ました。
 『赤い靴』に関して起きていることは、私の夢の中に起きた贋『坊ちゃん』事件をそっくりそのまま現実にしたものです。
 本当に気味の悪い現実世界だと思わずにはいられません。

坊っちゃん」のモデルだと名乗った男は実在する。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%AA%E7%94%B0%E4%BB%B2%E4%B8%89%E9%83%8E
 そして関川夏央はこれをもとに漫画を書いて手塚治虫文化賞を受賞している。
阿井さん、失礼ですがあなたは、菊地某が大学教授になったことが妬ましいだけではないのですか。しかしそれは捏造のおかげというより、よくあるテレビ人士の渡世の一つに過ぎないのではありませんか。私はまあ、北海道の五流大学の教授など妬ましくありませんが、都心の一流大学の教授なら妬ましいです。