連絡がとれなくなる編集者

 金曜日にゲラを送られると困る。土曜に到着して、電話で説明とか相談をしようとしても編集者は会社にいないので、月曜までイライラ待たなければならないからだ。
 なかんずく、お盆休みの前に送るなんて論外である。本日届いたゲラも、電話したら休暇中で、18日にならないと出てこないというから、悶絶しそうである。

 そういえば芥川賞の選評で村上龍が、「最も美しい日本語で書かれた小説が何か、答えられる人がいるのだろうか」と書いていて、一見すると楊逸の擁護のようにも見えるので前回無視してしまったのだが、私は答えられる。それは『細雪』だ。もちろん、文章だけが美しいのではなく、内容に見合って美しいのである。

一度原作マンガを載せてから毎号送ってくる『実話漫画ナックルズ』。その表紙のエグさに辟易しつつ(内容もエグいのが多いのだが)、ふと読んでいたら、ボランティアで刑務所を回っている女性デュオpaix2の漫画があって、つい泣いてしまった。
http://paix2.com/pc.html
 
小谷野敦