後輩の西原大輔くんが書いた『橋本関雪』(ミネルヴァ書房)が送られてきた。西原くんは『蚕豆集』(さんとうしゅう)という詩集を昨年上梓している。蚕豆は、腎臓のことである。西原くんは、20代の頃から、腎臓を病んでいる。一時は、40まで生きられないなどという噂さえあったが、今年40。既に『谷崎潤一郎とオリエンタリズム』とこれと、二冊の本を上梓し、二冊の詩集がある。
学者の中に、いつまでたっても著書を書かない人がいるのは、自分が長生きすると思っているからではないか、と思うことがある。西原くんが病気でありながら、こうして次々と著書を出せるのは、そうした「長命の驕り」がないからだろう。西原くんは、春風亭昇太に似ている。『橋本関雪』には著者近影があるから、ぜひ確認していただきたい。そして西原くんには、思いがけず長生きして、たくさん本を書いてもらいたい。