「『文學界』五十年のあゆみ(戦後編)」(『文學界』1983年11月)は、江藤淳中村光夫磯田光一の鼎談だが、江藤がここで「純文学論争」の内幕を語っていて、当時『群像』の編集長で文学の鬼と言われた大久保房男が、1959年創刊『週刊現代』の編集長を兼ねた。江藤は変節だと思ったが、大久保は、両方やって何が悪いと言い、『週刊現代』に文壇ゴシップとして吉行淳之介の「すれすれ」を連載させたが、週刊誌を読む人には文壇ゴシップなんか興味がないから失敗して大久保は『週刊現代』編集長を更迭され、混乱していて、そこへ平野謙が「純文学なんか古い」と言ったのでカッカして論争が始まったという。まあ確かに論争なんてのは編集部でやらせる気にならないと起こりませんからね。佐藤泉はこの文献は見落としたのかも。