大草原の小さな家

 昔観て気になっていた「大草原の小さな家」の後期エピソードを観た。第8シーズンの「愛の花束」(Wiser Heart)で、日本では1981年11月2日放送だから、私が予備校に通っていた浪人時代である。なおその日の夜は、千住真理子主演の「星の牧場」全編が放送されていて、千住真理子がすごくかわいかった。
 さて「愛の花束」では、ローラはアルマンゾ・ワイルダーと結婚していて、町の先生をしている。夏休みになり、アルマンゾの姉で独身のイライザ・ジェーンから、アリゾナの大学で夏季セミナーがあり、ラルフ・ワルドー・エマソン(1803-82)も来るというので来ないかと誘われ、喜んで汽車に乗る。
 しかし、ローラ・インガルス・ワイルダーは1867年生まれなので、エマソンが死んだ時にはまだ15歳、結婚したのは1885年なので、これはありえないのだ。
 さて汽車の中でローラは、少しはげた小太りの男モーティマー(パトリック・コリンズ)と隣り合わせになる。モートは教師をしていたが、言いたいことを言う性格のためクビになり、大学の夏季セミナーに出て教授に推薦状を書いてもらって次の仕事を探そうとしている。見た目はさえないが知的な男だ。
 出迎えたイライザ・ジェーンはいかにもなハイミスで眼鏡をかけている。さて教授(ジョー・ランビー、Joe Lambie)はイケメンで、イライザは一目で恋に落ち、ローラに頼んで食事に誘ってもらう。食事にはモートも加わるgが、モートはどういうわけかイライザが気に入ったようだ。ところがイライザは教授に熱をあげ、しかし教授はローラが気に入って、授業のあとでローラを残して誘惑するが、実は妻帯者。手を握られたローラははねつけて、イライザに、あれは悪い男だと伝えようとするのだが、イライザは話を全部聞かずに怒ってしまう。このあたりの脚本のご都合主義が、「後記大草原」である。
 ローラはカネがないので皿洗いの仕事をして、そこでも苦労するが、教授はローラに冷たい。教授は、エマソンは友人だと言っていたが、三週目に入って現れたエマソンジョージ・O・ペトリhttps://en.wikipedia.org/wiki/George_O._Petrie)は教授に「君の名前は何だっけ」と言って顔をつぶす。
 さて最終試験でローラは落とされ、立ち上がってローラが抗議し、モートも立って、いま読んだけれどこれは立派な答案だと言う。そこで教授が「私はエール大学で学んだ」と言うとモートは「ああ、それじゃ。僕はハーヴァードだ」と言い、教授が「私はオックスフォードでも学んだ」と言うとモートは「僕はケンブリッジだ」と言う。教授が「討論部のキャプテンを二年務めた」と言うとモートは「文藝誌の編集長を三年」と言って、「どうもこっちの方が分がいいみたいだ」と言う。
 当時私は、アメリカ人もエールだハーヴァードだと言うのか、と驚いたものだが、まあそれくらいのことはあろう。で教授は、外へ出て男同士の決着をつけようと言い、学生たちが喜んで外へ出るが、モートはボクシングもやっていたらしく、一発で教授をのしてしまう。まあちょっとした「水戸黄門」である。
 だが、これで推薦状が貰えなくなったモートに、誤解を解き教授の正体を知ったイライザが、ミネアポリスの私が働いている学校へ来ないかと言い、モートは喜んで行くことにする。
 ところがその後、イライザとモートはローラを残して汽車に乗り込み、ローラは別の汽車でウォールナットグローブへ帰る。なんでアリゾナからミネアポリスウォールナットグローブ(ミネソタ)へ帰るのに別の汽車に乗るのだ。このへんがもうめちゃくちゃなのである。