悪徳業者の種は尽きない

 以前、「プロバイダ責任制限法」を「プロバイダ責任法」と勘違いしていたやつがいたが、しばしば法令は、まるで逆の意味で理解されてしまうようだ。
 東京都は2004年、「賃貸住宅紛争防止条例」を施行した。これは、清掃代などと称して敷金を返さないといった家主、不動産業者が多く、これはおかしいと気づいた借主による小額返金訴訟が続出したためと思われる。

http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/juutaku_seisaku/tintai/310-0-jyuutaku.htm

「この条例は、住宅の賃貸借に係る紛争を防止するため、原状回復等に関する民法などの法律上の原則や判例により定着した考え方を宅地建物取引業者が説明することを義務付けたものです。」
 とあり、
「説明する内容
1、退去時の通常損耗等の復旧は、貸主が行うことが基本であること
2、入居期間中の必要な修繕は、貸主が行うことが基本であること
3、賃貸借契約の中で、借主の負担としている具体的な事項
4、修繕及び維持管理等に関する連絡先 」
 となっている。もちろん、重要なのは1である(番号は私がつけた)
ところが、この条例施行後も、3についてのガイドラインが付随しているのをいいことに、あたかもこの条例によって、清掃代は借主からとってもいいと決められたのであるかのごとき説明をする悪徳不動産業者が跡を絶たない。中には、「自然損耗」というのを、自然現象による損耗だと勘違いして、日焼けのようなもの以外は借主が負担するのだと、とんでもない説明をするバカがいる。
 みなさん、こういう業者に騙されないように。敷金は100%取り戻せますよ。

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相変わらず塩谷賛の『幸田露伴』を読んでいるが、その中巻「努力論」に「露伴の父は琴をひき太十(たいじゅう)を唸り蓄音機を喜んだとそこに書いてある。太十は「絵本太功記」十段目の略称だから大十とあるべきだがどちらでもいいだろう」とある。意味が分からない。塩谷氏は執筆当時失明していたせいか、時おりこの種の意味不明な箇所がある。

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 英語「You're kidding!」の正しい訳は「冗談だろう」ではない。「マジかよ!」である。表面上の意味といい実際の意味といい、これが正しい訳である。私は学生にずっとそう教えている。