実相寺昭雄はホントにすごいか

 こう、死んでから言うのはあれなんだが、実相寺昭雄というのは、そんなに偉い人だったのだろうか。「ウルトラマン」という枠の中でこそ実相寺演出というものが異質だったというのはあるが、それ以外の映画作品で、凄いのがあるか。私は代表作とされる「あさき夢みし」を観たが、まあひどかった。この人は名前のおかげで得をしている。もし「山本一郎」とかいう名前だったら、こんなカリスマにはならなかっただろう。

                                                                      • -

CDボックス「談志百席」で「たが屋」を聴いた。最後は、侍にたが屋が首を斬られて中天高く舞い上がる。これが本来の型である。明治になって、侍が斬られるように変わった。確かにそうである。供侍二人をやっつけるのはまぐれとして、一介のたが屋がその上主人の侍まで斬るなどありえない。落語はそういう「勧善懲悪」の絵空事をやらないはずの世界だが、明治「たが屋」だけはそれをやってきた。しかしこの型なら、その後たが屋は重罪に問われる。いずれにせよ打ち首であろう。そして、たが屋の首が飛ぶからこそ「たが屋ー」というサゲがあるわけだ。さすが談志師匠である。