『立川談志を聴け』という本で、山本益博が私と小林信彦と中野翠を批判していると聞いたので図書館で見てきた。小林と中野は反談志だから分かるが、なんでわしが? と思ったが、どうも、落語を好きになったら談志を生で聴くのはもとより、楽屋に訪ねたり一緒に酒を呑んだりしなきゃいけないということらしい。
まあこれはもう世界観の違いで、私は作家といえど、ヨイショ批評に陥らないためにはつきあいは最小限にしたいと考えている。もっとも私は酒が呑めないし、酒乱がしばしば現れる酒の場も嫌いだし、そういう意味では非社交的だから、言い訳めいてもいる。
私が褒めている興津要は小さんとべったりだったとも言っているが、私は興津の『古典落語』は初心者にはいいと書いたが、興津の批評がいいとは書いていない。というか読んだことがない。しかしもし山本に、落語家にせよ歌舞伎俳優にせよ、つきあったらヨイショ批評しかできなくなりゃしませんかと訊いたら何と答えるのだろう。
だが私のように、「食に関心がない」と非難されたことすらある人間は、山本にとっては異星人みたいなものだろうなあ。