リリー・フランキーを知らなかったよ

en-taxi」という「文藝雑誌」は、四年くらい前の創刊だろうか、その時からなぜか送られてきている。が、原稿依頼はない。いや、なくてもいいのだが。
 だが、謎だったのは、編集委員の一人、リリー・フランキーである。他の三人はもちろん知っているが、私はこの人を知らなかった。まあフランキー堺のような、日本人の藝名か、日本に長くいる外国人で、ミュージシャンか何かだろうと思っていた。何しろ私の、非古典音楽に関する知識は、ないに等しい。そして四年間、私は知らないままだった。
 最近、私の好きな安めぐみと「リリメグ」とかいってCDを出したので、ああやっぱり音楽家なのか、と思っていた。ところが、そのリリー・フランキーの「東京タワー」という本がなんだかすごく売れているという新聞記事があった。「東京タワー」は江国香織の本だと思っていたので、そんなものもあったのか、と、初めてリリー・フランキーについて調べた。イラストレイターで随筆家だとかいうが、実は依然としてよく分からない。
 しかし恐らく現代社会では、こういう、ある世界ではやたら有名だが、知らない人は全然知らない、といったものはかなりたくさんあるのだろう。

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ところで川端裕人は(この名前を「ひろひと」で変換しようとすると昭和天皇の諱が出てくる)「ニコチアナ」が文庫にならないとぼやいているが、あそこで開発途上にあることになっている「無煙たばこ」は、1997年ころ「エアーズ」の名で既に発売されていて、売れずに販売中止になっている。それを思えば、2000年に「ニコチアナ」が刊行されたことのほうが問題なのである。