吉村昭の「ほんのりしたチチ」

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吉村昭の『蟹の縦ばい』に「ほんのりしたチチ」というエッセイが入っている。同人誌の友人のP君というのが、家業のクリーニング屋をやりながら小説を書いていて、芥川賞直木賞の候補にもなったという。その人がある時自分の胸部をさらけだして、チチが少しふくらんでいると言って触らせたというのだ。その後その人はクリーニング店を家族に任せて、詩の同人誌を出すようになったという。

 川口則弘さんに訊いたら、直木賞候補にはなっていないが、須田作次(1925-2006)だろうという。なるほど、「福島県生まれ。日本大学芸術学部中退。家業を営むかたわら『文学者』等に作品を発表。同人誌『MY詩集』主宰。」と「直木賞のすべて」にあり、1962年に「鳥のしらが」で芥川賞候補になっている。

      •  著書は三冊ある。
    • 異本在原業平. 東京書房, 1957 

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