珍映画「LOVE LIFE」を観た

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深田晃司監督の「LOVE LIFE」という映画を観たらかなりの珍物だった。若い夫婦らしい木村文乃永山絢斗に、4歳くらいの息子らしい男児がいて、その男児がオセロの王者になったのでお祝いをしている。そこへ夫の両親(父は田口トモロヲ)が来るんだが、実は男児は妻の連れ子で、妻のほうは再婚、夫のほうは前の同じ役所に勤める彼女を振って結婚し、両親は不満だということが分かる。しかるに風呂で遊んでいた男児が足をすべらせて事故死してしまう。

 葬儀に、男児の実の父が現れるが、これが父が韓国人、母が日本人という韓国籍の男で、ろうあ者という設定。しかもあとでわかるが50歳近いらしく、なんで妻が結婚していたのかかなり不明。妻はキリスト教徒らしく、夜中にホームレスのために炊き出しをやったりしているから、福祉の心で結婚したんだろうか。韓国人はそれまで何をしていたのか不明なまま、役所へ生活保護の手続きに来て、元妻は手話通訳をするはめになる。

 夫は欠勤が続く元カノに会いに行ってキスしてしまうし、韓国人は義父が危篤だというのでフェリーに乗って帰国するのに、妻は「あの人を放っとけない」と言って同乗してしまうが、義父が危篤というのは実は嘘で、息子の結婚式だった。妻は帰ってきて夫と顔を合わせ、これからどうするか、というところで終わるのだが、そもそもこの妻の両親というのがまったく何をしているのか分からない。途中で地震も起こるし、受けそうな要素をあれこれぶちこんだだけの珍作・駄作としか思えなかった。

小谷野敦