「歴任」について

愛媛新聞」の3月29日号に、校閲係らしい山根健一という人の「校閲あれこれ(124) 官職でなくても」という文章が載っている。私の『頭の悪い日本語』(新潮新書)に、「歴任」というのは、本来は官職を歴任することだと書いたのを見て、辞典によっては官職でなくてもいいとしているものがあり、自分は官職でなくてもいいと考えている、とのべたものだ。

 しかし私の本意はそういうことではない。「白百合女子大教授、上智大学教授を歴任」なら(私立大でも)いいが、「法政大学や東京経済大の非常勤講師を歴任」はおかしいんじゃないかということである。もしそれが、教授と非常勤講師の差別だと言うなら、歴任などという言葉は使わなければいいのだ。現に私は人の履歴を書く時に「歴任」なんて言葉を率先して使ったことはない。「・・・教授、・・・学会理事長などを務めた」でいいではないか、ということで、実質的な「歴任」廃止論なのである。