シャルル・ドゴール空港

2018年1月にNHKで全四回で放送された「平成細雪」は、「細雪」の舞台を1990年代のバブル崩壊後の日本に移したもので、蓬莱竜太がシナリオを書いていた。あとで録画しておけば良かったと思ったのだが、その第一回で、雪子(伊藤歩)と見合いするイケメン男が、フランスで女と別れた時のことを元気一杯に話すところが特にいい。相手の女はオノリーヌというのだが、私はその年6月ころにその名前が思い出せなくてNHKオンデマンドで観て確認したのに、こないだまた思い出せなくてまたオンデマンドで観てしまった。

 ドゴール空港で男がオノリーヌにクマのぬいぐるみをあげて別れを告げると、

「オノリーヌ、怒る! シャルル・ドゴールの真中で。クマのぬいぐるみを抱えて、大泣き!」

 とか言って、雪子と幸子(高岡早紀)は笑っているのだが、そのあと幸子が、この人はなんでお見合いの時に前の女の話なんかするんやろ、と不審げな表情をする。場面変わって後日、その男がフランス人の女を妊娠させたことが分かってお見合いはパア。幸子が「オノリーヌ・・・」とつぶやく。

 おそらく、フランス人との恋愛は「旅の恥はかき捨て」で日本では別もの、と思っていたのだろうというその意識の描写がおもしろいのだ。

 あと、長谷川町子の『サザエさんうちあけ話』に、知人の変わった男性が、荷物は預けて手ぶらでドゴール空港を歩いていて不審人物だと思われたということが書いてあったが、どうもシャルル・ドゴール空港というのは、そういう場所に設定したくなるらしい。むろん私は行ったことはないが。