ヘンリー・ジェイムズ「ロデリック・ハドソン」 (講談社文芸文庫)アマゾンレビュー

初期の名作
星5つ -、2021/06/16
1988年、駒場の行方先生の大学院の授業で読んだのだが、この時初めて私は英語の読み方というのが分かった。内容もちゃんとした小説で面白く、英文科時代に読んだ「アメリカ人」とはだいぶ趣が違った。ジェイムズは最初はこのくらいの小説を書く実力があったのを、妙なトリックを凝らして「アメリカ人」とか「ねじの回転」とかを書いたということだろうか。天才的彫刻家ロデリック・ハドソンが、アメリカで婚約していながらヨーロッパへ渡って別の女に迷う話で、ロデリックの婚約者を好きでロデリックについていくローランドに感情移入できる。スモレットの「ロデリック・ランドム」と混同に注意、である。なお以前出ていた訳は東大駒場の教授だった谷口陸男のだが、これは行方先生いわく「めっちゃくちゃ」