佐久間文子の坪内祐三

佐久間文子が坪内祐三のことを書いた「ツボちゃん」を『新潮』を図書館で借りてきて読んだ。私が二人に会ったのは99年5月に池袋鬼子母神唐十郎の芝居があった時なのだが、その時は二人が夫婦とは知らなかったが、前年の末にそれぞれの配偶者と別れて一緒になったところだったと知った。というか、佐久間さんに夫がいたというのは、何となくそうだろうなとは思っていたがはっきり知った。

 佐久間さんは一緒になる前に坪内に怒って怒りのファックスを送ったというが、私もこの人はずいぶん怒らせた。今でも怒られている。坪内も怒りっぽい人だったからさぞかし喧嘩も多かったであろう。

 死因はこの文章には書いてなかったが肺炎らしい。しかしあの大量の仕事と飲酒が命を縮めたんであろう。

 佐久間さんは『靖国』について、左右どちらとも違う視点から書いたとしているが、まあ佐久間さんはそう思うだろうが、あれはそう見せかけて保守の側から書いたものである。私には坪内の「前進座の歌舞伎には興味がない」と言う、その罵倒に近い前進座憎悪に、ああやっぱり企業御曹司なんだな、という感じがしたのを忘れられない。