金子薫「双子は驢馬に跨がって」アマゾンレビュー

運のいい作家
星1つ -、2021/05/22 野間文芸新人賞受賞作だが、かなりわけの分からない小説である。ある意味小説の体
を成していない。父の名が「君子危うきに近寄らず」で息子の名が「君子」というと
ころに、富樫義博の弟の漫画家が「富樫」であるみたいなバランスの悪さがあり、寓
話のようにも前衛のようにも見えるが、囲碁が出てくるところから、禅問答みたいな
のを書こうとしているのだろう。ところで世間にはこんな風にわけの分からない小説
を書き続けている人というのはわりあいいて、ただし世間から認められずにいる。こ
の作者はちょっとした偶然から新人賞に引っかかり、作家として生きのびている。運
のいい人だといえるだろう(倉本さおりさんが「傑作」だと言っているので、どこか
で詳しく書いたのか質問中である)