坪内祐三の「八百長野郎」

 『本の雑誌』十月号を立ち読みしたら、坪内祐三玉木正之を罵倒していた。技量審査場所で、白鵬魁皇に負けた一番が、八百長だと玉木が書いたからである。玉木はどこで観たのか、自分は升席の前から八番目で観てすごく興奮した、玉木こそ「八百長野郎」だと言うのだ。
 私はニコ動で観ただけだが、まあ確かにあれを八百長だとは感じなかった。ただ書いているのが坪内だと、相撲のことより「玉木は坪内の人脈的には罵倒してもいい人なんだなあ」という感想が先立ってしまう。
 まあ『靖国』を書いた時には、大関の昇進基準と横綱の昇進基準を混同するくらい相撲オンチだった坪内だが、私に指摘されてよほど腹が立ったのか、その後はせっせと相撲を観ているようだが、その相撲評論はあまり感心しない。「外国人を排除しようとしている」と言っていたこともあるが、横綱大関全員が外国人だという現状を、いいと思うのかどうか。「警察がメールを相撲協会に渡した」のも非難していたが、あれは相撲協会が公益財団法人の申請をしていて、公益性が高いと判断したから。まあ私も、九重とか井筒とかはどうなのかとは思うのだが。
 まああと、西村賢太はA賞をとる前から褒めていたとはいえ、とったとたんに、「賢太は俺が認めていたんだ」と言わんばかりに連れまわしていたのはどういうもんかね。どうしても坪内というと、人脈の人という気がしてならないんだよね。談春の大したことない『赤めだか』に講談社エッセイ賞やったのも坪内じゃないのか。