2021年3月11日に日本でレビュー済み
徳川時代後期に、山形とか長州とかから犬が単独で伊勢参りをしたという共同幻想があった、ということが書かれている。しかし著者は実際に犬が伊勢参りをしたと信じているが、それは誰かが犬のあとをこっそりつけて伊勢まで行かないと証明できないので、著者があげる送り状などの史料は歴史学的証明にはなっていない。司馬遼太郎は合理主義的にこんな話は伊勢の御師が広めたのだろうと書いているが、著者はカンカンになって司馬を批判している。これは著者のほうがおかしいので、まあ右翼的な風潮の中でこんな話が蒸し返されているのが現状であろう。名犬ラッシーのように遠くからもといた家へ帰るのは分かるが、伊勢神宮まで行くというのがほぼありえない。