三島由紀夫が通俗小説も書いたことは知られているが、これは「
主婦の友」に連載ののち1954年新潮社から刊行されたが文庫などにならなかったため知らなかった。通俗小説中では出来のいいほうなので意外だが、それはもしかしてこの中身が、対米関係の隠喩になっていて、三島が反米ではないことが分かるからかもしれない。三島の自決を愚行とした
江藤淳は、その後自ら反米という愚行路線を走っていき、今の
白井聡のような反米右翼に至るが、解説の
千野帽子は、ここに描かれた戦後日本の
民主化が「トホホ感」があると書いていて、これは小説に対して的外れで、この解説は千野がおそらく反米であるためにとんちんかんなものになっている。三島の勝ち、千野の負けという感じのする刊本である。