平川祐弘「アーサー・ウェイリー」アマゾンレビュー

2020年8月19日に日本でレビュー済み

 
ウェイリーを礼讃し、サイデンステッカーを批判するという底流があるが、その部分は誤りである。平川は、光源氏が空蝉とセックスしたのを、空蝉が「ナイトメア」と感じたとサイデンが訳したため、「源氏」はレイプの書であると英語圏で言われるようになったとサイデンを批判しているが、英語圏で問題になったのはむしろ浮舟に対する匂宮のレイプである。また日本でも「源氏」における強姦を論じる今井源衛の論文があった。これはサイデンが天皇制に対して批判的であったための平川のイデオロギー的身振りでしかない。