汽笛一声

 中村光夫の戯曲に「汽笛一声」というのがある。割と長く、明治初年を描いたもので、読売文学賞をとっている。『かまくら春秋』12月号の森千春の連載「花から読み解く文学57」で中村光夫がとりあげられ、この戯曲に「ひとこえ」とルビが振ってあった。いや「鉄道唱歌」の歌いだしだから「いっせい」だろうと、かまくら春秋に疑問のメールを出したが、回答がなく、電話したら、森さんに訊いて、筑摩書房の初版にそう書いてあったという回答を得た。だがその初版にも、『展望』の初出にも「ひとこえ」なんてルビは確認できなかった。

 なお森千春という人は二人いて、ここでの森千春はてなキーワードにある、1948年生まれの元毎日新聞記者、「文学の花しおり」(毎日新聞社)の著者で、もう一人は1958年生まれ、東大比較の出身で読売新聞記者、