プクステフーデ?

 アマゾンで高野史緒さんのコメントをいただいたので、デビュー作『ムジカ・マキーナ』を読んでみた。ハヤカワ文庫版である。1870年頃のヨーロッパを舞台にした音楽SFで、登場人物が時どき変な方言をしゃべる。「だけんど」と三河弁が入り、そのあと大阪弁になり、「がんす」と東北弁になったりする。土浦の人で同県人だが、土浦と水海道では方言は違うだろうが、何か茨城人らしい不自由さが感じられて良かった。
 あと「ダーウィンやメンデル」と出てくるのだが、メンデルなんてのは死んで十四年もたった1900年に再発見された人なんだからここに出てくるのは変だ。
 あと「クステフーデやバッハ」とあるが、これは「クステフーデ」。文庫にする時に誤植したのかと思って単行本(新潮社)を見たらやっぱり「プ」だった。誰か教えてやらなかったのかい。 
 あと「ヴェルギリウス」とあるが、これは「ウェルギリウス」と書かないとバカにする人がいる。
 お茶大で遅塚忠躬に師事したというから、ロシヤではなくフランス中世史が専門なのだ。
 『架空の王国』は、もしかしたら最初に書き始めて五年もかかった小説らしい。これは日本人の若い女性学者が架空のボーヴァルへ留学する話だが、最初のほうに「トウキョウの超一流大学を中退して」とある。東京に超一流大学なんてあるか?