南條竹則の『酒仙』の新潮文庫版解説は、あの渡辺秀樹が書いている。妻はファンタジーノベル大賞最終選考に残った人だが、かつての受賞作のこの解説を知らなかったので、図書館で借りてきた。ついでに私ももう一度読んで、渡辺秀樹がいかに文学好きで、文藝評論家になりたい、というような人だったか、改めて感じた。それで私が嫉妬の対象になったわけである。
しかしそれなら、一冊書いて出版社へ持ち込むとかすればいいのだし、かたくなにベオウルフの世界などへ閉じこもらなくても良かったのである。それともこの解説を見て原稿依頼でもあると思ったのだろうか。
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http://www.hh.iij4u.or.jp/~iwakami/kado3.htm
岩上安身が90年代に書いた角川源義裏面史である。源義の二人目の妻・中井照子が、1949年7月、源義との間にできた子供を絞殺したという新聞記事が引かれている。これは確認したが、おかしいのは、それでどういう刑を受けたのかが書いていないことである。岩上も、分からなかった、のであればそう書けばいいのだが、それすら書いていない。
(小谷野敦)