最近、近所の図書館でよく、不要になった本を放出している。ので、よく拾ってくる。先日は、宮部みゆきの『模倣犯』上巻が出ていたので持ってきた。映画は観たし、さほど期待せずに読み始めたが案外面白かった。だが、視点が犯人側になる第二部へ来ると、がくんとこちらの緊張感がなくなってしまい、面白くない。
それはそうと、犯人がテレビ局へ電話をかけてくるのがこの小説のミソだが、ボイスチェンジャーを使っていて、しかしそれでも声紋は変わらないから、複数であれば分かる、ということが「12」で説明されており、そのことはテレビの特番でもやったから、知らなかった犯人はこれを観て慌てているかもしれない、とある。
ところが第一部後半で、テレビ番組の放映中に犯人から電話がかかるのだが、この時、なぜか改めて、ボイスチェンジャーを使っても声紋は変わらないという説明がなされ、主要人物である殺された娘の祖父が、警察から初めて聞かされた、という描写があり、犯人もそれを知らなかったという展開になる。これはいったい「12」で書かれたこととどう整合しているのか、分からない。連載中にミスしたとしても、単行本でも、文庫本でもそのままである。