直木賞作家の日本語力

(活字化のため削除)

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図書館からの帰路、自転車で走っていたのは、線路脇の道。歩道も車道もない。ど真ん中を走っていたら、前から二人の女が来る。三十歳くらいか、両手に荷物を持って、そのせいかうつむいて、細い道全体に広がって歩いている。私が近づいても気づかず、ブレーキをかけたらギュウーっと音がして、左側の女が顔をあげ、「ああ、びっくりした」と大声を出した。びっくりしたじゃねえよ、前を見て歩けや。自転車に乗っていて一番困るのが、前を見て歩いてない奴である。携帯見ながらなんてのは論外で、ひき殺してやろうかと思う。