ある音楽 

「サンデー・ミステリー・ムーヴィー」といえば、あの『刑事コロンボ』を含むシリーズで、日本で、刑事コロンボの音楽だと思われているのは、このシリーズの音楽である、ということは、ファンなら誰でも知っていることだ。私は『警部マクロード』がひときわ好きだったが、そのあとに『署長マクミラン』があった。これは原題はMacmillan and Wife であるが、その音楽が、私には衝撃であった。

これだと分かりにくいが、主旋律の冒頭が、音階が同じままリズムだけで二小節続く。これがものすごくかっこいいと思って、自分でもそういう音楽が作れないかと思ったほどである。
 その後で『探偵スヌープ姉妹』というのもあったのだが、これの音楽も同様であった。

中学生のころのことだが、こういう出だしはまったく大胆と思えたし、今のところほかに例を知らない。私はあたかも、戦時中に『風と共に去りぬ』を観た映画人のように、この国にはかなわない、と思ったくらいである。なお曲はいずれもジェリー・フィールディングで、映画音楽の世界では知られた人らしい。まあポピュラー音楽に疎い私だが、この手法はフィールディング独自のものではないかと思う。

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 私はこの歌が大好きで、石原慎太郎山本直純双方の最高傑作ではないかと思っている。不思議なのは、この曲は、まるで最初から存在した曲のように聞こえることで、冒頭から、この展開以外にありえないという曲なのである。だから、昔は何かのパクリではないかと思ったくらいである。
 逆に、全然それがその曲である必然性がない曲というのがあって、カラー版の「サイボーグ009」の主題歌なんか、まさにどう考えても変なのである。あの曲は、いかにも苦し紛れに作ったという感が強い。