ふと出来ごころでラテン語でもやってみるかと思って購入した大西英文『はじめてのラテン語』(講談社現代新書)を読んでいてなんか不快になった。この人は、ラテン語のVは「ヴ」ではないと言うのだがそれがしつこい。オヴィディウスと書いたらわざわざ「どう考えてもオウィディウスの間違いだろう」とか書いた奴を思い出す。
(活字化のため削除)
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
- -
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
ゾラの『獣人』を読んだ。素晴らしかった。バルザックの『従姉ベット』の半分くらい素晴らしかった。『悪人』なんかこれから比べると末流時代の末流小説にしか見えない。同じ犯罪小説だが、スケールが違う。嫉妬、少女への性的いたずら、姦通、汽車、惨殺、その小説自体が、主人公ともいえる汽車リゾンのように、疾駆する。ゾラは再評価されているようで、藤原書店と論創社からシリーズが出ているが、私が読んだのは安く手に入れた筑摩書房の古いもので、しかし訳文はちっとも古くない。原題の海外の一流作家でも、こんなものは書けない。なぜかというに、それはモーツァルトのような曲を今書いても誰もがモーツァルトの亜流だと思うように、これがゾラの世界だからかもしれないし、やはり小説は19世紀で終わったからかもしれない。ジッドなんか、今では読むに耐えない。