高学歴者のおもちゃ

 ミクシィを始めた頃だから、2005年くらいに日経アドレだかで取材を受けた治部れんげさんは、元マイミクだったが、何か嫌がらせを受けたとかでミクシィを抜けた。
 以後接触はないのだが、昨年本を出したことを知った。74年生まれなのでいま36歳。26歳の時に夫が米国へ留学して、そのあと、2006年くらいに自分も米国留学、妊娠して帰国、夫は大学で教えているとか。
 「フェミニスト」なのだが、マイミク時代から時おり違和感は感じていたものの、出産したり夫が就職したりして、どんどん変な人になっている。というのは、夫婦で仕事を持って子育ても分担、ということを言う、つまり「男女共同参画」なのだが、どう見ても、一流大学卒同士で体力のあるカップルの話でしかないのである。著書も、はっきりと、そういう高学歴の米国人男女を取材した、と書いてある。日本でいえば、もうMARCH以下なんて眼中になく、結婚できない男女のことも頭にない感じである。ブログを見てもツイッターを見てもそうで、夫と自分の自慢にしか見えないのである。それが反感をかうことだけは分からないらしい。
 私の大学の先輩(男)でも、育児をしているなどと揚言していたのがいたが、麻布高校卒現役で東大工学部卒、モテモテで、山一証券と厚生省の両方受かったが賃金がいいので山一、潰れるのを前もって察知したか別の証券会社へ移っていたというエリート中のエリート、背は高く実家は東京都内の医師で、かといって浮気をして家庭を壊すような人ではないと、そういう人である。
 治部さんの文章を見ていると、男女共同参画というのは、そういう類まれに恵まれた男女のおもちゃなのか、と思い、大変暗い気分になった。

id:petronius7 ?何を嘆いているのか知らないけど、視野が狭いんじゃない?中国は明らかに日本より貧しいけど、明らかに日本より男女共同参画的な社会だよね。←社会主義国だから出来るってことが分からんのかバカ。日本は自由主義経済で、企業に対して、国家が命令することはできないの。お前は視野が広いわけじゃなくてバカ。

                                                                                    • -

 高校一年の時に、太宰治の「老ハイデルベルヒ」を読んで題名の意味が分からず、多分岩波文庫に入っているマイヤーフェルスターの『アルト・ハイデルベルク』と関係があるのだろうと思ったが、確認しないまま、32年後の今日ようやく『アルト・ハイデルベルク』を読んで意味が分かった。

                                                                                    • -

毎日新聞丸谷才一ナボコフの『賜物』の新訳の書評をしていた。私はかつてこの小説を読みかけて放り出したのだが、この書評で、チェルヌイシェフスキーの伝記を書いている男の話であることを知った。知ったってお前、途中まで読んだんじゃないのかと言われるかもしれないが、読んだとしても忘れていた。だってチェルヌイシェフスキーなんて、読んでいないし、ドブロリューボフと混同するくらい、縁遠い人で、そんな小説が面白かろうはずがない。社会主義系の本というのは、半世紀前と今とでは、読書界における地位が全然違ってしまった。『賜物』なんか1930年代だし、島木健作とか今読んでも退屈なだけだし、1960年代の『されどわれらが日々-』だって、六全協決定で憂鬱なのだなどと、斎藤美奈子が書いているので後で知ったくらいである。