「お前だ」とカピバラは言った

 仄聞、ヨコタ村上が週刊新潮を訴えたらしい。しかしその内容は「強姦ではなく和姦だ」というもの。あの記事を見たって「A子さんは強姦されたと言っている」とは書いてあるが、「つきあっていた」というYMの証言も書いてあり、問題ないと思う。A子さんを訴えるなら分かるが、それでは世間から非難されるから、植草一秀一審勝訴(二審敗訴)の事例に賭けたのだろうか。
 しかし阪大ではお咎めなしか。和姦なら、初対面の女子院生と研究室でセックスしてもよし、という阪大基準ができたということになるのかな。

 確か阪大に勤める直前だったか、ヨコタ村上と、阪大坂から言語文化部棟へ向うあたりを歩きながら、YMが、津島佑子藤井貞和が晴れて一緒になれた、という話をして、みなが、良かった良かったと言っている、と話した。年譜によると津島が離婚したのは77年、藤井と一緒に暮し始めたのが93年、これは94年のことだから、藤井のほうの離婚が成立したということだったのか。YMは、「いやあ、良かった良かったって言っても、相手もいるわけでしょう。そう喜んでばかりでいいのかと思ったね」と言ったのは、藤井前夫人のことだったろう。
 私は、いやあ津島さんは、子供を事故で亡くしているから、と言うとYMは、あ、そうなのか、それなら、分かる、と言った。津島は夫との間に女児、また結婚中に他の男の子供を宿して出産、おそらくその直前に離婚しているが、その男児が風呂場で呼吸発作を起こして死んだのが85年のことだ。
 しかし今思うと、YMもこの当時はまじめ人間だったのだなあと思う。
(表題は宇野常寛の小説に猫喫茶「イッパイアッテナ」が登場したのにちなんで斉藤洋の近作より)