なんでツバメだ

 『13デイズ』という映画を観ていたら、キューバへ偵察飛行に行った戦闘機が銃撃を浴びて翼が穴だらけになって帰還して、パイロットが、「ツバメの群れに襲われた」と吹替えで言っているのに、字幕では「スズメ」になっていた。なんだなんだと思って原語に戻したらスパロー、スズメだった。なんで吹替えだけ間違えたんだろう。
 東大の授業でも(遠い目)、スパローをツバメと訳す学生が必ず3割くらいいたなあ。しかし考えてみると
 スパロー−スワロー
 スズメ−ツバメ
 と、この二種を似たような音感で表現しているところが面白い。あ、そういえば松本清張シリーズ「たずね人」で、「砂山」を歌うところでおじさんが「ツバメ鳴け鳴け」と歌詞を間違える場面があった。
 それにしても『13デイズ』はケネディが全然似ていない。『クイーン』のブレアは結構似ていた。そういえばあの当時はフルシチョフが「首相」だったから、コスイギンに代わった時はコスイギンが最高権力者だと思われていたのが、ブレジネフが擡頭してからは首相じゃなくて書記長が最高権力者になったのだが、実際にはずっと書記長が最高権力者で、ソ連の歴代権力者が並べられる時ってコスイギンは抜かされている。コスイギン、君は何者だったのだ。

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そういえば小沢麗子さんのところで紹介されている金井美恵子先生の『柔らかい土を踏んで』の文庫版の、野心満々の『新潮』編集長によるインタビューの慇懃無礼な口調って蓮實先生が始めたみたいに思われているが実のところ私が最初に見たのは伊丹十三がやっていた『モノンクル』の本棚拝見ってコーナーで筒井康隆にインタビューしていた誰かがやっていたのが最初だった。
 『小説トリッパー』(この分厚さは何であろう)で橋本治が「蒲団」を論じているのだが、もう最近の橋本治は、ただ思いついたことをだらだらと書くスタイルになってしまって、切れがない。『花咲く乙女たちのキンピラゴボウ』とか『蓮と刀』の頃の切れ味はもう遠い昔。まあ人間歳をとるからしょうがないね。私もそのうち『徒然草に学ぶ敗者の人生』とかいうのを書くかもしれん。

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http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/depressive_disorders/
 でも自殺する国会議員はいるよね。
私が阪大にいた頃、ドイツ語教室で、病気のため一年近く休職している女性がいた。英語部会会議で主任がちょっとそのことを説明したところ、渡辺秀樹がいきなり、いったい何の病気なのか、なぜそんなに長く休むのか、と鼻息荒く質問して、主任は「鬱病です」と答えたのだが、秀樹、なんで他の教室の人のことについてそういきりたつのかと思ったが、まあそういう奴なのである。普通の職場でもいるだろう。自分には関係ないのに、サボっているやつがいないかと目を光らせているやつ。

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というわけで私は『彼女たちの連合赤軍』を流し読みしたのだが、ネット上で議論をしていて、書名をあげられたら、読む、いや人間いろいろ忙しいから、「いずれ読みます」と言うとか、なるべく早く読むとか、いや買わなくたっていい、図書館で借りるとか立ち読みするとかでいい、精読でなくて部分読みでもいい、とにかく手にとって広げるというのを最低限のマナーにしてほしいものである。書名をあげているのに、「じゃあいずれ読みます」の挨拶もなく、脊髄反射的に何か言い返してくるやつ、死んでいいよ。

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青山光二の「吾妹子哀し」が川端康成賞をとったのは、別に作が優れていたからではないのだよなあ。それにしてもあそこで、妻が死んだあとの夫の平均余命は七年、とか書いてあって、当時青山は90近くて、お前まだ七年も生きるつもりなのかと思ったよ。

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『悲望』が点字図書になっているのを知り驚愕。点字って著作権認可要らないから、こういうことが起こる。