三浦和義の著書

 私はかつて、三浦和義の著書を一冊だけ買ったことがある。本人訴訟のやり方を書いたものだ。あまり読まずに売ってしまったような気がするが、手書きの訴状の写しなどが載っていた。
 三浦は証拠不十分で無罪になり、犯人だと書いたマスコミやライター相手に次々と訴訟を起こして勝訴したが、実際には多くの人が「やっぱりやったんだろう」と思っていたはずで、それは避けることができなかった。
 ところで三浦は、本多勝一とともに、『噂の真相』に対抗して『月刊あれこれ』という雑誌を出したことがあり、一年ももたずに潰れたが、私はこれに寄稿したことがある。離婚について『噂真』に書かれ、反論をしてくれと持ちかけられたのである(もちろん編集者からで、三浦からではない)。
 すると本が出る前に大月隆寛からメールが来て、「ホンカツの雑誌に寄稿すると聞いたけど、ネタだよね?」などとあったので、くだらんことを気にするやつだと思って返事をせず、大月とはそれきりであった。
 大月がどういう理由で本多勝一が気に入らないのか、また私もそれを共有していると思い込んだのか分からないのだが、私は本多勝一には何の興味もないのである。本多の本は、大江健三郎を批判したのを一冊読んだだけで、それも、別に興味は沸かなかったから売ってしまった。
 どうでもいいものはどうでもいいのだから仕方がないし、私は文筆業だから、よほどおかしなところ(たとえば『世界日報』とか)からの依頼でない限り、ないしは内容に口出しされるのでない限り、依頼は受ける。
 もう一つ分からんのが立花隆批判で、呉智英さんもやっていたが、これも私には興味がない。もっともこちらは、『アメリカ性革命報告』など面白かったし、『日本共産党の研究』も読んだ。たとえば立花や本多がおかしなことを言ってそれが広まっているというなら分かるのだが、要するに売れているから言われているだけではないか、としか思えないのである。
小谷野敦
http://blog5.fc2.com/y/yonehan/file/psychic.html
 こんなものを送ってきたやつがいたのでえらい怖かった。
(いや、もう分かりましたよ。ただ、自力では分からなかった。というのは、クリックするごとに変わっているということに気づかなかったし思いつかなかったから)