橋下判決に疑問

 橋下徹は禁煙ファシストであるから、敵である。今すぐにでも知事を辞めてほしいという気持ちに変りはない。しかし今回の判決は・・・。
 「毎日新聞」は、橋下を責める一方の論調だったが、他紙もそうなのだろうか。私は言論の自由の観点からいって疑問である。第一に、懲戒請求を出した国民は、懲戒請求なるものを知らなかったわけで、橋下はそれを教えただけである。私は6年前に段林和江から脅迫を受けていた時、大阪弁護士会にまで苦情を言ったのだが、懲戒請求のことは知らなかった。知っていたら間違いなく請求していただろう。かくのごとく、国民の無知に付け込み、些細な知識をカネに変えるのが弁護士という職業である。そしてカネのない国民は往々にして弁護士に騙されて示談に応じてしまったりするのだ。もしかすると、橋下の発言のゆえに懲戒請求の制度を知って、弁護士の不当な脅迫から逃れた人もいるかもしれないではないか。
 まあリベラル各紙には死刑反対論の含みもあるのだろうね。

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単著もないのに」は『現代用語の基礎知識2007』に載っている。もっとも、はてなキーワードの「集団語」みたいなものを集めたページにあるだけだが。その語を発した人はもうこの世にいないようだし、言われた栗原さんは立派な単著を出した。そこで私は「単著もないのに東大教授」という新しいキーワードを作ろうと思う。いや、理系は著書より論文だからいいのだがね。人文系とされていても言語学や心理学は理系だからいいのだがね。それ以外でも結構いるよ。18人くらいいるな。

 (小谷野敦