誰にでも小説は書ける?

(活字化のため削除)

 吉本隆明はどうやって生計を立てていたのだろうと思ったら、44歳の時に著作集が出ていた。すごい。今なら福田和也だって著作集なんか出せないだろう。しかし、高橋英夫とか大笹吉雄とかも、どうやって生計を立てていたのか、と思う。
 小田島先生は東大に勤めていても、官舎の四畳半に一家四人で住んでいたという。1960年代のことだ。今の人なら耐えられないだろう。その辺が、誰も餓死するわけでもないのに格差社会とか大騒ぎする連中がいる理由なのだろう。
 (はっきり言わないと分からない奴がいるようなので書いておくと、経済政策論ならどうぞやってもらって構わんが、雨宮処凛のような感情論だけの馬鹿をあちこちで起用する愚を私は言っているのだ。澤地久枝が正しく指摘していたが、小林多喜二は泣いてほしくて蟹工船を書いたのではない。革命を起こすために書いたのだ)

 (小谷野敦