勝海舟と村上龍

 「篤姫」であるが、勝海舟は38くらいだろう。北大路欣也って・・・それは。
桜田門外の変」って名前は花があっていいね。それで「花の生涯」か。

 『文藝春秋』九月号、村上龍がもっともはっきりと、楊逸の受賞に反対していて、しかもその理由が明晰である。「大きな物語」が「小さな物語」より価値があるなどというのは間違いだ、と言っており、全編同意できる。信じている人に裏切られなかったのは、嬉しい。ぜひ村上龍に文藝時評をやってほしいが、そんな面倒くさいこと、嫌だろうな。

 久しぶりに「ガメラ対宇宙怪獣バイラス」を観た。子供の頃に観た時の記憶では、大人たちが、バイラスは成層圏に弱い、と言って、それでガメラがバイラスを連れて成層圏まで連れて行ってやっつけるのだ。「ガメラマーチ」でも、「成層圏でやっつけろ」とある。なのに、本編には、「成層圏」などという言葉は一度も出てこなかった。すると、私の記憶は、当時の少年雑誌などから捏造されたものか、あるいはそういう雑誌に載っていた読物にでも書いてあったのだろう。
 怪獣ものには、こういう、本編には出てこないのに共有されている知識というのがある。これを「怪獣もののパラテクスト」と呼ぶ。
 それにしても、予算が足りないため、過去のバルゴンやギャオスとの戦闘シーンを、ガメラの記憶として長々と流したり、果てはバイラス星人に操られたガメラが東京を破壊するシーンでは、最初のガメラの、白黒のシーンを使ったり、今観ると寒心に耐えない。まあ全体としてのひどさでは松竹の「宇宙大怪獣ギララ」には及ばないのだが。