山田一郎

 高島俊男先生から、『天下之記者』を贈っていただいた。確か先生はインターネットは御覧にならないから、後ほどお礼状を書くが、ちと困ったのは、山田一郎という名前についての前説のところで、『寺田寅彦覚書』の名著がある山田一郎氏に触れていないのはまずいのではないかということであった。私が『日本の有名一族』で寺田、安岡章太郎別役実の親戚関係を書く時にもっぱら参考にしたのはこの本で、実になんともはや名著で、芸術選奨新人賞を受賞しているのである。芸術選奨というのは、先般の盗作画家受賞騒ぎでも分かるとおり、首を傾げるような受賞作が多いのだが、これは本当に名著である。
 それで、『文学鶴亀』に、杉山正樹の『郡虎彦』の由良君美による書評に紅野敏郎が軽く異議を申し立てた文章について書いてあったのだが、由良先生が言ったのは、駄目な白樺派から出て西洋の天地に飛翔した郡、ということであった。で、この『郡虎彦』も芸術選奨新人賞を受賞しているのだが、これも首を傾げる口で、初の郡の伝記だから、というのはともかく、薄すぎるし、ただ郡を一通り紹介しただけの本であった。

                                                • -

週刊文春』で宮崎哲弥氏が、橋下もレギュラーだった番組を降りることになったと書いていた。しかし橋下、休憩時間に禁煙とは、田中康夫以上のファシスト知事だな。史上最悪の知事になりつつある。大阪人ってのはつくづくバカである。横山ノックでちっとも懲りていない。労組や職員は橋下と徹底抗戦してほしいものだ。