『別冊宝島 これが最後のタバコ大論争』というのが今日出たようである。私はアンケートへの回答を求められて答えた。全部で15の問いがあったが、概して簡単に答えた。その13は、「あまりにも激しく禁煙を要求する人をどう思いますか?」だったので「死んでしまえ」と書いた。何か言ってくるかな、と思っていたら、ゲラでもそのままだった。ところが届いた現物を見たら、「13 付き合わない」「14 死んでしまえ」になっていた。14は、映画などでかっこいいと思ったタバコのシーンは? というもので、私は答えなかった。いずれにせよ、これでは意味不明だ。どう考えたって人為的な改竄である。「付き合わない」なんてことは私は書いていないし、ゲラにもそんな文言はないのだから。「あまりにも激しく」だから、いいのである。ご当人が「あまりに激しい」とは普通思っていないわけだろうし。なお私は実名の分かっている者に「死んでしまえ」と書いたことはない。
 面倒だから放っておくが、責任者は編集プロの株式会社G.B.か宝島社か。

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さてその本に嫌煙家として蟹瀬誠一が登場していた。明治大学文学部文芸メディア学科教授である。実は3,4年前にこの学科が新設されたとき、私は公募に出して落とされた。最後の二人まで残ったという噂だが、蟹瀬はたぶん別枠だろう。さてその学科の主任は野毛孝彦という70くらいの教授である。誰? というような人だが、明治の院出身の国文学者らしい。単著なし、論文は40年間に20本くらいか。単著もないのに、文芸メディア学科の主任になるということが不思議である。
 明治の文学部の宣伝パンフレットを見ると、かつて小林秀雄中村光夫も教えたなどと麗々しく謳っているのだが、今の文学部にその手の人物はいない。齋藤孝がいるが、それだって最近有名になったのであり、既に文芸評論家としてマスメディアに書いているような人は採用しなくなっている。諸富祥彦のようなトランスパーソナル心理学=オカルト学者は採っている。
 もちろん、マスコミに書いているから優秀な学者であるなどとはまったく言えないが、それなら小林秀雄もいただの山本有三が学科長だったのと宣伝しなければいいのである。よく人は、有名学者は私立では人寄せパンダ的に欲しがるのでは、と言うが、明治の文学部に関しては文藝系ではそれはまったくない。まあテレビで知られた蟹瀬や、諸富のように『ずっと彼女がいないあなたへ』などと、岩月謙司の『ずっと彼氏がいないあなたへ』と対になった本(いずれもWAVE出版)を書くような人のほうが今の学生には受けるという判断であろう。作家の堀江敏幸理工学部張競中村和恵夏石番矢は法学部である。ひきあいに出して申し訳ないが、たとえばなぜ明治出身の陣野俊史を採用しないのか。死んだ倉橋由美子は顕彰しても、生きている文学者には冷淡なのである。
 
 ああそうそう、学者の世界では、「一人で書いた論文」という意味で「単著」を使う。著書ではなくても。業績一覧で「単著」を見つけて勘違いしないように。まあ人文系の論文はたいてい一人で書くが・・・。