（活字化のため削除）
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分かっておらん奴がいるから追記する。作家もペンネームを使うだろう、の類である。しかしこれは、書籍の奥付に、出版者の住所が書いてある。雑誌にも編集人名と住所が書いてある。これが責任の所在地だ。私は活字での匿名批判も卑怯だと考えるが、とりあえず雑誌や新聞であれば、編集人または責任者の住所が記されている。しかしウェブ上のそれには住所がまずない。これが大きな違いだ。絶望書店は、住所がある。逆に、実名が分かったとしても住所が分からなければ、たとえば内容証明や訴状を送ることができない。私の住所は、調べれば分かるが、まあネットバカとか禁煙ファシストとかは、調べる能力もないのが普通だ。
たとえば「あまカラ」とかいう奴が新聞記者だとする。そいつが何食わぬ顔で私に取材に来るかもしれない。ネット上で私の誹謗中傷をしている奴が、である。しかしそれに私は気づかないかもしれないが、向こうは知っているわけだ。これではまるでマジック･ミラーで覗かれているようだ。これはかなり卑劣なことである。実際、かつて掲示板で私について不正確なことを書いていた者が、調べたら鈴木京一とか増田聡とか知った名前だったことがあった。 （小谷野敦）
