戸塚ヨットスクール
星3つ - 評価者: 小谷野敦、2023/04/30
戸塚ヨットスクールと戸塚宏への評価は、いまだに定まっていない。それは、死者が出ても治る子がいたらいいのか、という疑問への回答を誰もが出せないからだろう。私は戸塚が正しいと思う。当時、戸塚と栗本慎一郎が夜の民放の番組に出て、戸塚が、生死を賭けた状態に追い込まれると子供の脳が活性化するというようなことを言い、栗本が、ややためらいつつ「うーんまあ戸塚さんが正しいんで」と言っていた。もっとも、海外ではこういう問題はないのかちゃんと比較研究しなければいけないが。伊東史郎の演技が実に見事で、ジャケットの叫んでいる顔はあまりこの映画の真実を伝えてはいない。
音楽には物語がある(53)ファンクラブの謎 「中央公論」5月号
サントラ盤と同じくらい謎な存在なのが、「ファンクラブ」である。私は中学三年の時、竹下景子さんのファンになり、ファンクラブへ入ろうと思い、官製はがきに「入会希望」と書いただけで送ったが、返信用封筒も入っていないはがきだから、何の返事も来ず、それきりになった。もっとも当時の私の小遣いで会費が払えたとも思えない。
私が本当にファンクラブに入ったのは、鮫島有美子と仲道郁代という、クラシックの女性演奏家のもので、仲道さんのほうはすぐやめてしまったが、鮫島さんのほうは七年くらい会員で、毎月会報が送られてきて、鮫島さんのサインが入った年賀状も来た。
しかし、結局それだけである。コンサートのチケットがとりづらいくらい人気のある藝能人のファンクラブなら、チケット優先取得ができるからファンクラブに入る意味もありそうだが、そうなると今度はファンクラブの会員数がやたら増えてしまうだけじゃないかと思うが、私が入ったのはそういう藝能人ではなかったから、はて、これは何のために入っているんだろうという感じは最終的にはあって、何のことはない、「自分は×××のファンクラブに入っている」という自己満足のために入っているようなものでしかない。むしろ今の「投げ銭」とかのほうが、有益な感じがする。
もちろん、囲む会みたいなのが開催されて、ファンクラブ会員はその偶像と会えるという機会も提供される。実際、私は仲道郁代さんを囲む会には行ったことがあって、2000年くらいのことだったが、表参道あたりの瀟洒なフランス料理店を借り切っての会で、長テーブルが二つ並んでいて、私は割り当てられた窓際の席に座り、周囲には同年配の男が二人くらいいた。あとは、ピアノを習っている女の子を連れたお母さんが多い感じだった。
当時私は最初の結婚をしていたが、まだ30代で、一人一人が何か発言させられる中で、ちょっと変なスピーチをしてしまった。最後に、解散になって、一人一人出口に立っている仲道さんと握手をして、サインをもらえるといったことになり、小さい女の子たちが先に出て行った。その時、前にいた二人の男が、見知らぬ同士で会話を始めた。どうやら二人は「女性演奏家オタク」らしく、別の女性ピアニストの会へ行ったらサインをもらえたがそれはどうたらこうたら、と話を始めた。それを聞いていて、私は嫌な気分になり、自分もはた目には彼らと似たように見えているんだろうと思った。
カラヤンにしてからそうだから女に限ったことではないが、クラシックの演奏家が容姿のために人気があった時代があり、しかしもちろんそれは不純な部分もあって、ファンクラブへ入ることで私はその不純さを直視してしまったようなところがある。それもあって、私は仲道郁代ファンクラブはわりあいすぐにやめてしまった。しかし先日YouTubeで、仲道さんが亀井聖矢、吉見友貴という若手のピアニストに、ベートーヴェンのピアノ曲についてレッスンをする「マスタークラス」というのを観て、仲道さんが教えるのがうまいのに感心するとともに、それは観客に見せるためのものでもあるから演技的な部分もあるのだから、演者としての才能もある人なんだなと改めて感心した次第である。
ところで「日本モーツァルト協会」とか「フォーレ協会」というのがあるが(私は「フォレ」が正しいと思うが)、私はプロコフィエフの三番ピアノ協奏曲があまりに好きで、日本プロコフィエフ協会に入ろうと思ったが、それは存在しなかった。
「遊女の文化史」レビューはガイドライン違反だとアマゾンは言う
佐伯 順子 (著)
★星2つ
13年前に削除したが
2019年12月26日に日本でレビュー済み
著者本人も今では認めていないだろう。売れているため絶版にならないらしいので教育的配慮から復活させる。一点にしないのは一点をつけたくないからで、ユングの原型を流用したこの本については「聖なる性の再検討」という論文で詳細に批判したしウェブ上にもある。なお近世娼婦神聖説は松田修が言いだしたものだ。
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エリザベス・ブレイク「最小の結婚: 結婚をめぐる法と道徳」アマゾンレビュー(削除された)
強者の勝利をもたらすだけ 星1つ、2023/05/03 この著者はアメリカと西洋のことしか知らないが、アジアには一夫多妻制というものがあり、今で
も事実上の一夫多妻制をやっている「強者」がいる。西洋には「もてない男女」というアイディア
は輸出されていないし、結婚というのは近代になって、ほぼすべての男女に配偶者がゆきわたるよ
うにする制度だった。それを緩めるということは、結局は一夫多妻制の復活や、もてる男女が若い
うちは性愛の相手をとっかえひっかえし、もてない男女には一人も回ってこないという世界をもた
らす。この著者はそういうことが分かっていない。『愛」の代わりにケアというのは、位相が違う。「愛」は結婚においては、この人とならセックスしてもいいかという妥協の基準になるが、ケア
はそういう基準にはならないので、なんでここに出てくるのか分からない。フェミニズムや同性愛
者擁護が話をめちゃめちゃにしている例である。
谷崎潤一郎と井伊直弼
谷崎潤一郎は、松子と結婚してからは、大坂の陣では豊臣びいきだった。それは、松子が豊太閤びいきだったのと、谷崎の先祖が近江出身だと分かり、石田三成に共感していたからで、「春琴抄」の春琴と佐助の関係は、淀殿と三成を模したものであろう。
しかし谷崎は、幕末の政治については、何も言っていない。東京人としては、徳川方に与したいところだろうし、弟子の舟橋聖一は「花の生涯」で井伊直弼を義人として描いており、谷崎存命中に大河ドラマにもなっているが、谷崎は何も言っていない。しかし、東京へ出る途中、彦根で井伊家の別邸だった八景亭に泊まったこともあるし、井伊直弼びいきだったのではないかと私は思っている。
というのは、司馬遼太郎も、『醒めた炎』の村松剛も、直弼を旧習に固執する人だったと否定的に評しているからだが、日米修好通商条約は米国の軍事力を考えたら締結せざるを得なかったものであり、外国との条約締結に、そもそも天皇の許しを得る必要があるというのは、当時の水戸学者や尊王家の「発明」でしかない。そういえば谷崎が師と仰いだ永井荷風は、1861年に攘夷派に殺されたヒュースケンのことを気にしていた。
神谷光信「村松剛: 保守派の昭和精神史」アマゾンレビュー(削除された)
初の伝記 星4つ、2023/04/24 これまで村松剛にはちゃんとした年譜すらなかったが、初の伝記として価値がある。しかも、イ
スラエルの立場に反共ということで同調してしまう村松へも批判的で、なあなあ伝記になってい
ない。三島由紀夫の同性愛を否定したのも、遺族への配慮とされているが、いいこととは思われ
ない。しかし結婚については二度結婚したことが書いてあるが最初の結婚がいつかすら分からない
のは、遺族に取材しなかったからだろうが、これは遺族に取材すると批判的なことが書きづらくな
るからだろう。書簡や日記も用いてはいない。立教大を辞職した事件について、他の著者の本にゆ
だねているが、これも書いておくべきだと思った。