アメリカンコミックの映画化である。ニューヨークに住むデイブというさえない青年が、自分もアメコミのヒーローみたいになりたいと妄想して、スーパーマンみたいな恰好をして悪童連と戦うのだがボコボコにされる。だがその後、たまたま勝利を収めて「キックアス」として名前が知られるようになるが、本物の強盗に遭遇してしまう。そこへ現れたのがヒット・ガールと呼ばれる戦闘少女で、父親から猛特訓を受けて本当に強い。
そこから本当の強敵との戦いまでが描かれた戦闘娯楽映画で、ヒット・ガールを演じたクロエ・グレース・モレッツは当時(二〇一〇年)十三歳だったが、目のところを仮面で隠しているもののかわいいというので話題になった。日本で写真集も出ている。
ところが、このヒット・ガールが戦っている時に流れる音楽を聴いて私はぎょっとした。知っているのである。それどころか、ずっと探していたものだったのだ。私が小学校低学年の頃、動物みたいな着ぐるみの四人組が出てくるたぶんアメリカ製のテレビ番組があって、主題歌は覚えているのだが、番組名が分からない。その主題歌の曲なのだ。そこでこれを手がかりに検索していき、ついにユーチューブで現物のオープニングを見つけた。一九七○年十二月から翌年六月まで東京12チャンネルで放送されていた「マンガ大冒険! ドタバタ30分」という番組で、声の出演は柳家かゑる(現・鈴々舎
馬風)というところまで分かった。
歌詞は覚えていて「野越え山越えやってきた俺たちゃ愉快な四人組、みんなが喜ぶことならば、なんでもかんでもやってやる」とかいうので、おそらくはドタバタ劇だったのだろうが、「マンガ」ではなく実写である。当時は子供番組とか怪獣映画などみなまとめて「マンガ」と呼ばれて蔑視されていたのである。この番組について詳しいことが分かる人は教えてもらいたい。
映画のほうは、もちろん大戦闘のクライマックスまで面白かったが、私にはそんな副産物があったものでもあったのだ。