1990年以降、東大の人文系で博士号をとった人の一覧です。物故者、日本に残らなかった外国人は除いてあります。●は東大、早慶の教員ないしはどこかの名誉教授、○は首都圏および京阪神のまともな大学、旧帝大の教員、△はその他の大学の専任、および助教、特任講師など、×は定職なし。
言語学、心理学などで、あまりに人文ばなれしているのは除いています。逆に駒場の地域文化などで、政治経済寄りなのも入っています。書籍化されたものは『』で示していますが、必ずしも博士論文がそのまま書籍になるとは限らず、その人に別の書籍がある場合はそれを記し、博士論文題目を別途記してあります。
●1990
●平川南(1943- 歴博館長)『漆紙文書の研究』吉川弘文館、1989
●鳥居フミ子(1927- 東京女子大名誉教授)『近世芸能の研究 土佐浄瑠璃の世界』武蔵野書院 1989
●永積洋子(1930- 東大名誉教授)『近世初期の外交』創文社、1990
〇緒形康(1959- 神戸大教授)科学と文化の置換-厳復試論『危機のディスクール―中国革命1926~1929』新評論 1995
●1991
●渡邉昌美(1930- 中大名誉教授)『異端カタリ派の研究 中世南フランスの歴史と信仰』岩波、1989
△田中教照(1947- 武蔵野大教授)『初期仏教の修行道論』山喜房仏書林 1993
●山崎元一(1935- 国学院大名誉教授)『古代インド社会の研究 -社会の構造と庶民・下層民』刀水書房、1987
●細川亮一(1947- 九大名誉教授)『意味・真理・場所-ハイデガーの存在の問い』創文社、1992
●藤井省三(1952- 東大名誉教授)『ロシアの影 夏目漱石と魯迅』平凡社選書 1985
●村上勝三 カツゾウ(1944- 東洋大名誉教授)『デカルト形而上学の成立』勁草書房、1990
●外村南都子(1935- 白百合女子大名誉教授)『早歌の創造と展開』明治書院、1987
●久保陽一(1943- 駒沢大名誉教授)『初期ヘーゲル哲学研究 合一哲学の成立と展開』東京大学出版会 1993
△課程博士
●金田一真澄(1949- 慶大名誉教授)『ロシア語時制論 歴史的現在とその周辺』三省堂 1994
●橋場弦(1961- 東大教授)『アテナイ公職者弾劾機構の研究』東大出版会、1993
●1992
●坂巻清(1941- 東北大名誉教授)『イギリス・ギルド崩壊史の研究 -都市史の底流』有斐閣、1987
●武田幸男(1934- 東大名誉教授)『高句麗史と東アジア -「広開土玉碑」研究序説』岩波書店、1989
●五味文彦(1936- 東大名誉教授)『院政期社会の研究』山川出版社、1984
●青柳正規(1944- 東大名誉教授)『古代都市ローマ』中央公論美術出版、1990
●丸尾常喜(1937- 大東文化大名誉教授)『魯迅 「人」「鬼」の葛藤』岩波書店 1993 魯迅と伝統に関する基礎的考察
●水島司(1952- 東大名誉教授)『前近代南インドの社会構造と社会空間』東大出版会、2008
●吉田伸之(1947- 東大名誉教授)『近世巨大都市の社会構造』東大出版会、1991
●藤井貞和(1942- 東大名誉教授)『物語文学成立史』東大出版会、1987
●有福孝岳(1939-、京大名誉教授)『カントの超越論的主体性の哲学』理想社、1990
△課程博士
〇古川隆久(1962- 日大教授)『昭和戦中期の総合国策機関』吉川弘文館 1992
〇津上英輔(1955- 成城大教授)『あじわいの構造―感性化時代の美学』春秋社 2010 Girolamo Mei,De modis 校訂本文と日本語訳および解釈
●小田部胤久(1958- 東大教授)『象徴の美学』東大出版会、1995
×清水道子(1946‐、)『テクスト・語り・プロット チェーホフの短編小説の詩学』ひつじ書房 1994
●1993
●東野治之(1946- 奈良大名誉教授)『日本古代木簡の研究』塙書房、1983
●高島元洋(1949- お茶大名誉教授)『山崎闇斎-日本朱子学と垂加神道』ぺりかん社、1992
●村井章介(1949- 東大名誉教授)『アジアの中の中世日本』校倉書房、1988
志茂碩敏(1941- 東洋文庫)シモヒロトシ『モンゴル帝国史研究序説 イル汗国の中核部族』東大出版会、1995 学士院賞
●長崎暢子(1941- 東大名誉教授)第二次世界大戦期におけるインド民族運動 -インド国民軍との関係再考
●末木文美士(1949- 東大名誉教授)『平安初期仏教思想史研究 -安然の思想形成を中心として』春秋社、1995
●西野嘉章(1952- 東大総合博物館名誉教授)『十五世紀プロヴァンス絵画研究 祭壇の図像プログラムをめぐる一試論』岩波書店、1994
●塚田孝(1954- 大阪市立大名誉教授)『身分制社会と市民社会 -近世日本の社会と法』柏書房、1992
●上野美子 ヨシコ(1939- 都立大名誉教授)『ロビン・フッド伝説』研究社、1988
●竹村牧男(1948- 東洋大学長)『唯識の探究 『唯識三十頌』を読む』春秋社 1992
●蜂屋邦夫(1938- 東大名誉教授)『金代道教の研究』汲古書院、1992
●森田安一(1940- 日本女子大名誉教授)ヤスカズ『スイス中世都市史研究』山川出版社、1991
△課程博士
○外山紀久子(1957- 埼玉大教授)『帰宅しない放蕩娘 アメリカ舞踊におけるモダニズム・ポストモダニズム』勁草書房 1999
●周藤芳幸(1962‐、名大教授)『ギリシアの考古学』同成社、1997 ミケーネ社会における集落組織の研究-遺跡の空間分析から
●劉傑(1962- 早大教授)『日中戦争下の外交』吉川弘文館 1995
×福田千津子(小倉千津子)『デヴゲニイの事績』-ロシア語、ギリシャ語諸写本の比較研究によるアーキタイプ再建の試み
△森下徹(1963- 山口大教授)『日本近世雇用労働史の研究』東京大学出版会、1995
○神山恒雄(1961- 明治学院大教授)『明治経済政策史の研究』塙書房、1995
●1994
●神野志隆光(1947- 東大名誉教授)『柿本人麻呂研究 古代和歌文学の成立』塙書房、1992
●下田正弘(1957-、東大教授)『涅槃経の研究』春秋社 1997
〇大豆生田稔(1954- 東洋大教授)オオマメウダ『近代日本の食糧政策 対外依存米穀供給構造の変容』ミネルヴァ書房、1993
○桑子敏雄(1951‐、東工大教授)『エネルゲイア アリストテレス哲学の創造』東大出版会、1993
●大津透(1960‐、東大教授)『律令国家支配構造の研究』岩波書店、1993
●松尾剛次(1954‐、山形大名誉教授)ケンジ『鎌倉新仏教の成立 入門儀礼と祖師神話』吉川弘文館 1988
●菅野博史(1952‐、創価大名誉教授)『中国法華思想の研究』春秋社 1994
●本村凌二(1947- 東大名誉教授)『薄闇のローマ世界 嬰児遺棄と奴隷制』東京大学出版会 1993 サントリー学芸賞
△課程博士
△原直史 ナオフミ(1962- 新潟大教授)『日本近世の地域と流通』山川出版社、1996
×大月晶子 フェートの抒情詩に見る生・死・時間 -『夕べの火』を中心に
×木村敦夫(1955-)チェーホフ劇におけるコミュニケーションの問題
●村松眞里子(1963- 東大教授)Novellino論-一文学ジャンルの崩芽
○横山(安田)安由美(1964 立教大教授)『中世アーサー王物語群におけるアリマタヤのヨセフ像の形成―フランスの聖杯物語』溪水社、2002
○清水賢一郎(1967- 北大教授)明治日本および中華民国におけるイプセン受容 -恋愛・貨幣・国民国家のドラマ
○大塚美保(1965- 聖心女子大教授)『鴎外を読み拓く』朝文社 2002
△松本真奈美(1964- 尚絅学院大学教授)平安中期和歌文学論
×家永香織(1962- )『転換期の和歌表現―院政期和歌文学の研究』青簡舎、2012 関根賞
△加藤悦子(1953? 玉川大教授)鎌倉時代末期に於ける宮廷絵所の研究
○天野知香(1959‐、お茶大教授)『装飾/芸術 19-20世紀フランスにおける「芸術」の位相』ブリュッケ 2001
●頼住光子(1961- 東大教授)『道元における善と悪』日本放送出版協会 2005
○茂木敏夫(1959‐、モテギ 東京女子大教授)『変容する近代東アジアの国際秩序』山川出版社 1997
△伊佐敷隆弘 イサシキ(1956- 宮崎大教授)『時間様相の形而上学―現在・過去・未来とは何か』勁草書房 2010 言語と価値 -ヴィトゲンシュタイン哲学の前期後期の連続性と不連続性
○中村慎一(1957‐、金沢大教授)長江下流域新石器文化の研究
○家永遵嗣(1957‐ 学習院大教授)室町幕府将軍権力の研究
×藤田智子(慶大法学部非常勤研究員)ロシア文学におけるスカースの系譜
△水上(齋藤)則子(新潟女子短大教授)ブィリーナにおける『鳥』 -ポエチカ分析の試み
○縄田雄二(1964‐、中大教授)『ヘルダーリンー予め崩れる十九世紀近代 伊東静雄における受容との関連にて』西田書店 1996
○伊東(原)玉美(1961- 白百合女子大教授)『院政期説話集の研究』武蔵野書院、1996
○鈴木宏子(1960- 千葉大教授)『古今和歌集表現論』笠間書院、2000
×林直美(1964- )署名と固有名 ルイジ・マレルバの小説の諸問題
●佐藤淳二(1958- 北大教授)表象と共同体 ルソー『ダランベールへの手紙』における「公的領域」と「私的領域」の構造
△林明(1960- 弘前大准教授)現代南アジアの政治・社会変動 インドのガンディー及びナーラーヤンの運動とスリランカの民族紛争を手懸りとして