これは、稲木昭子・沖田知子の『アリスのことば学 不思議の国のプリズム』(阪大出版会、2015)の奥付の著者紹介欄である。左手に「稲木昭子 追手門学院大学名誉教授」とあり、右手に「沖田知子 大阪大学教授」とある。ところがその下に「兵庫県出身。大阪大学文学部英文科卒、大学院修士課程修了。同英文科助手をへて現職」とあって、どちらの経歴か分からない。
 実はこれ、二人共通の履歴なのである。
 稲木さんは助手から追手門学院大学へ行き、今は名誉教授、沖田さんは大阪大学附属医療看護短期大学助教授から、「医短」が医学部看護学科に併合されたため、言語文化部助教授となり、私の同僚だった。稲木・沖田の『アリス』に関する共著はいくつもあって、ちょうど私が阪大へ行った時にその二冊目が出たのだったか、沖田さんからいただいて、当時はまじめだったからきちんと読んだ。
 とはいえ、稲木氏と沖田さんでは、年齢が七つくらい違うはずで、それをこうやってまとめてしまうというのは、新機軸なのか、珍略歴なのか。