大江健三郎二題

http://franzjoseph.blog134.fc2.com/blog-entry-48.html
大江健三郎「飼育」の「黒んぼ」がいつの間にか「黒人」に変わっていたという指摘。
 『ちくま』に保阪正康が連載していて、別に読んだことはなかったのだが、6月号で「戦友会」へ潜入(?)した時のことが書いてある。元兵士らは、戦争で人を殺したり強姦したりしたことを自慢げに話すので、こういうところか、と保阪が不快を感じるのだが、そこに「俺は中国人(保阪注・この語を蔑称で口にしたが)を一発で二人殺したよ」とあり、それは「ちゃんころ」なのだろうが、これはまさか筑摩書房ではなく保阪自身による、人の発言の改竄だろう。 

                                                                • -

ついでだが…。
 1979年9月14日に大江健三郎は、NHK教育テレビの「日曜美術館 私とベイコン」に、三木多聞らと出演しており、私は大江のファンだったから、これを観てフランシス・ベーコンという、ルネッサンス期の哲学者の子孫で同名の画家を知ったのだが、大江は『図書』2013年6月号の「親密な手紙」に、「その起った年月をはっきり覚えていると信用されないが」として、三十年前の七月、どこかへ出かける途中の電車の中で隣の人の新聞にベーコン展の広告が出ているのを見て、その絵に刺激を受け、それが何だか知りたかったが、話しかける勇気もなく、だがその人が新聞を座席の上の棚に置いていってくれたので、それがベーコン展だと知り、どこかへ行く用事を変更して観に行ったとあり、それがベーコンとの初の出会いだったとある。これは83年7月のベーコン展なのだが、それより四年も前にベーコンの番組に出ているのだからおかしいのである。