「伏姫」の謎

 東大比較文学の教員のメルアドには「fusehime」というドメインが使われており、学生が不審を抱いているらしいので説明しておく。
 このドメインが決められたのは1992、93年ころで、当時留学生担当講師だったMが決めたものと思われる。私は90年に『八犬伝綺想』という本を出しておりこれは修士論文だった。Mと私は、いずれ東大教授になって二人でこの研究室を牛耳るのだと愚かにも思っていた。Mもまた、自身の修士論文を本にしていたのである。かくして、若者の悲しい高揚感のうちに「伏姫」を使い、まあだいたい現在、つまり当時から20年後には、二人が教授になっていて、Mが「ああ、あの伏姫ってのはねえ、当時小谷野さんが」などと学生に説明しているはずだったのである。
 で、あてことと越中ふんどしは向こうから外れるの言葉どおり、Mも私も東大教授にはならなかったわけで、そのような青春の夢の残骸として「fusehime」だけが残っているわけである。

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http://blog.livedoor.jp/nekozitagorira/archives/51760266.html
 私もラボで「チクサクチクサク、ホイホイホイ」ってのやらされて、その時初めて「エール」って言葉を知ったんだが、「チビッ、チャオ」と言っていたな。