ちょっと必要があって、99年のドラマ『パーフェクトラブ』というのを観はじめたのだが、これはつらかった。木村佳乃が目当てだったのだが、主演は福山雅治である。私は『龍馬伝』で初めて、福山というのはこういう人かと思ったくらいだったが、当時佳乃は23歳で、十歳の時に父親が女と逃げて、母親の手一つで育てられて短大を出て会社員をやっている。結婚する気満々であちこちコナをかけている。バリ島へ行く飛行機で福山を見て一目ぼれする。ところがバリ島で福山が昔つきあっていた女と遭遇する。これが板谷由夏というらしいが知らなかった。
それでダイビングに出かけるのだが、佳乃はできるふりをして船に乗るが、実は出来なかったか、具合が悪いと言って船に残り、板谷らが飛び込む。だが佳乃は海に落ちてしまい、板谷が助けようとするが、佳乃の振り回した腕が当たり、ほかの者らによって二人とも船上へ救い上げられるが、板谷は息が止まっており、福山が人工呼吸をすると息を吹き返す。
だが佳乃は反省するどころか、その人工呼吸の様子に嫉妬し、夜中に福山の脇に寝てやってしまう。あとは福岡へ帰ってから、ドタバタが続く。どうせ最後は福山とくっつくんだろうと思わせるが、観ていてひたすら、木村佳乃がどうしようもないバカ女にしか見えないし、ぎゃあぎゃあうるさい。で、三回目の中途で観るのをやめたのだが、尼レビュを観に行ったら、みな感動している。「恋愛がしたくなりました」などと書いてある。ああ、大衆はこれでいいのか、と思った。
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行方先生の『モームの謎』はモームの再評価なんだろうが、モームは「面白いが通俗だ」ということになっている。だが私にはその「面白い」という前提がない。短篇なら、比べるのは変だが山川方夫のほうがずっと面白い。『人間の絆』にいたっては、あまりのつまらなさに途中で投げ出した。『痴人の愛』の題で映画になっているのも観たが、男は退屈だし女は変で、なんでこんな女がいいのか理解できない、変な映画だった。