電子書籍の実態

 電子書籍に希望を見出す人がいる。しかし先日、私の本の一冊が電子書籍になった、その支払い調書が送られてきた。印税は110円。桁を間違えたわけではない。売れたのは一冊である。
 公共図書館学術書をリクエストしなさい、そうすれば図書館は劇的に充実する、と書いていた人がいた。しかし、図書館では、リクエストと、他の地域から借りるのとで、冊数制限がある。リクエストした本が入るまで長い時間がかかる(一か月くらいか)。その間、私はこの一冊に縛られて、他の地域からの借り出しが出来なくなることがある。そして、取り消しをすることになる。いかんせん。 

                                                                                • -

藤田覚の『大江戸世相夜話』(中公新書、2003)に、政治の腐敗を武陽隠士の『世事見聞録』が嘆いているのに触れて、武陽が、その改革を天皇に期待した、と書いてある。何が根拠なのか分からない。藤田はその後も天皇に関する著作を出しているが、そこでは出てこない。手紙を出そうかと思ったのだが面倒なのでやめた。 

                                                                                  • -

新井潤美さんから『執事とメイドの裏表』を送っていただいた。ぱらぱら見ていたら、英国の上流階級は、知性と教養がないことを強調したがるとあった。私は「ミゼラブル・ハイスクール1978」で、知識がないことを誇る高校生たちを嫌悪をもって描き、千野帽子さんが「負の教養主義」と呼んだのだが、そういえば上流階級にもそういうところはあって、知性だの教養だのというのは貧乏人のものだ、という意識がある。これがないのはシナや日本といった儒教国であろう。