「ミカド」の歌

http://dspace.lib.kanazawa-u.ac.jp/dspace/bitstream/2297/483/1/AN00044182-104.pdf
 ポピュラー音楽研究の権威ともいうべき金沢大学名誉教授・三井徹の論文(2005)だが、この中に、

 「ミヤサマ、ミヤサマ」の歌詞が、1868年の『ジャパン・パンチ』に記録されていたという指摘があるものの、その歌詞は1868年のどの号にも、またその前後の年の号にも見当たらない。

 とある。指摘は金山亮太・新潟大准教授の2004年のものだが、これは、三井の見落としであろう。これは2002年の『ワーグマン素描コレクション』上巻(芳賀徹川本皓嗣新井潤美ら編、岩波書店)の97pに載っている。手回しオルガンを弾いている絵に、ローマ字で「あれは朝敵、征伐せよとの錦の御旗じゃ知らないか、トコトンヤレトンヤレナ」とある。
 この見落としを金山が指摘したのかどうか知らない。金山の『サヴォイ・オペラへの招待』(新潟大学ブックレット、2010)を見ても、特にこの絵への言及はない。
 三井の論文はCiniiで見られるから、それだけ見て、ああないのだな、と思われても困るな、と私は思ったことであった。