「想い出屋」

歴史小説主人公別一覧は、見づらいのでウェブサイトに移動設置しました。
http://homepage2.nifty.com/akoyano/hisnov.html

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藤本寿彦『幸田文―「わたし」であることへ―『想い出屋』から作家への軌跡をたどる』(翰林書房、2007)の冒頭部ははなはだ面白い。なかんずく「想い出屋」という、どうやら藤本の造語らしいものが痛烈である。偉大な父の死後、その「想い出」を書くことで知られるようになった幸田文を指しているのだが、この一語は、世間にあまたある「想い出屋」、有名作家の妻、娘、稀に息子を痛烈に批判しているおうではないか。
 そういえばこの本には、幸田文の手記の宣伝文に「大露伴」とあったことが書いてある。かねて、「大」は他との区別のためにつけるものだと言っていた私としては、そうではない例として銘記しておきたいものだ。 

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図書館へ行ったら、70歳くらいの老婆が『LEE』という雑誌の最新号をカウンターに持ってきて、これは最新号だから借りられませんが、予約したい、と言っていた。図書館員が調べたら、35人が予約しているというので、老婆は諦めたが、私はまったく呆れた。そのくらい、買え。