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私が北条民雄を読んだのは、高校時代に文学好きの同級生が角川文庫版を「読んだら暗い気分になったから上げる」と言ってくれた時である。
 その後か、大学生のころだったか、新聞の「ひととき」とかいう単独投稿欄に、息子が受験に失敗したという父親のものが載っていて、これから息子にさせようと思うこと、というのが五つくらい箇条書きで書かれていて、その第一が「『いのちの初夜』を読ませて、世の中には自分より不幸な人がいることを知らせる」とあって、私は呆れたことがある。たぶん朝日新聞である。