私の本の読み方 

 私が本を手にするのは、八割方は調べるためで、当該個所を見たら終わりである。あと必要に応じて引く。
 そうでなくて「読む」場合、古典的な作品は一応読む。50pくらい読んでも全然面白くなかったら放り出す。
 最近の本で何か賞をとったというようなものの場合、重要なのは内容であり、小説の場合は文章も加わる。評論であれば、内容をまず確認する。一応最初の1ページくらいは読む。面白そうなら続ける。面白くなさそうだったら、ぱっぱっぱとページをめくり、やっぱり面白くなさそうだったら放り出す。
 小説の場合、映画化されていることがあるから、もし映画を先に観ていたら、文章を確認するだけだ。1ページくらいはちゃんと読む。あとは筋を確認するため飛ばし読みである。ここは重要そうだと思ったらそこだけちゃんと読んだりもする。
 もし、飛ばし読みした後で、誰かが何かを言うのを聞いて、おや見落としたかなと思うことがあったら、またそこを読めばよろしい。
 厄介なのは、50pを過ぎたあたりから面白くなる小説で、これはめったにないが、だいたい著者名と、顔つきで分かる(顔つきというのは小説の、である)。
 必ず飛ばすのが、自然描写である。これが半ページくらいあると、アクセサリーだから読まない。国木田独歩の「武蔵野」なんか、それをやると読むところがなくなるから、これは仕方ない。時には、ぱっと開いて一瞬見ただけで、読む必要なしと判断することもあれば、一度も開かずにそう判断することもある。長いこと書棚に置いておくと、読む価値はないと分かることもある。