『トリアングル』を読む

 俵万智の『トリアングル』は、新聞連載中にちらちら見ていたのだが、先日武藤康史さんとちょっと俵万智の話をしたこともあり、文庫版を購入してちゃんと読み始めた。さて、ヒロインの不倫相手のカメラマンMは、12歳年上で、ライターのヒロインが25歳の頃に、旅をして写真を撮り記事を書く仕事を一緒にしている。
 この設定をほぼ事実として調べると、このカメラマンは、無名時代から俵を撮影して写真集も出している内山英明で、実際旅をしての仕事もしている。というわけで、実はすぐに分かるように書かれているのだということが分かったが、二人の名前で検索しても何も出ないのはふしぎだ。

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雨の中とぼとぼと駅前の書店まで行って新潮文庫『異邦人』を見て、窪田啓作が生きていることを確認。
 こんな本を見つけたので買ってきた。

明治キワモノ歌舞伎 空飛ぶ五代目菊五郎

明治キワモノ歌舞伎 空飛ぶ五代目菊五郎

 んー明治初期歌舞伎木下直之風というところか。箱根の向うは別世界、を説明するのに「『新世紀エヴァンゲリオン』で新東京が芦ノ湖畔に、絶対防衛線が強羅に」とか説明がある。
 「鼠小紋東君新形」に「あずまのしんがた」とルビがあるが、従来は「はるのしんがた」だった。新資料でもあるのかな。
ご本人はこちら。
http://blog.goo.ne.jp/gonnosuke_2005

 (小谷野敦